サイベリアンの子猫を新しい家族として迎える際の、住環境の準備や費用をご案内します。
普段いただいているご質問にブリーダーとしてお答えしている内容も含みますので、当猫舎の子猫をご検討いただいている場合には特にお役に立つと思います。
ここにあげる注意点や諸費用はサイベリアンの子猫だけのものではなく、全ての子猫に当てはまることですが、備えあれば憂いなしですね。
子猫を迎えるのが初めての方も、愛猫達と長年一緒に暮らしていらっしゃる方も、できれば一度目をお通しいただき、思わぬトラブルを避けて、安心して子猫をお迎えいただきたいと願っております。
サイベリアンの子猫を迎える準備
サイベリアンは難しそうなことにも物怖じせず、敢えて挑んでいくチャレンジャーなところがありますから、それによって思わぬ危険にさらされることのないように、彼らの関心ごとを知り、何に興味をもつか想像しながら準備を進めましょう。
まずはサイベリアンの子猫を迎える際に必要な生活の準備と、心の準備からご案内させていただきます。
あらかじめ危険を回避する
サイベリアンは賢さを生かして色々なことに挑戦したがりです。
野性味をもっているのがサイベリアンの良さですが、屋外では散歩だけでは済まなくなる可能性もありますので、室内飼いにして危険を避けましょう。
お家の中にも危険なものがたくさんあり、その全てが猫にとってはとても大きな人間サイズですので、愛猫達にとって大怪我に繋がりかねない未知の領域だということをご理解ください。
特に、水や小さな生き物を見るとハンターの血が騒ぐのか、ちょっかいを出したくなるようですから注意してあげてください。
子猫を守るため、ご家族が安心して過ごしていただくために注意したいこと。
- お風呂
風呂水を溜めておくのはエコな二次利用や災害対策のために一般的ですが、猫にとっては命に関わります。
バスタブに落ちてしまっても器用に泳ぐ子もいますが、慌てて溺れてそのまま痛ましいことに、ということもありますので、お湯は必ず抜くかお風呂の蓋や戸は必ず閉めるよう十分に心がけましょう。
- トイレ
猫はお水が大好き。何故か水を見つけると嬉しいらしく、喜んで飲んでしまいます。
トイレの蓋やドアを開けていると必ずと言っていいほど飲もうとしてしまうので閉めておきましょう。
また、ドアを閉める際にはうっかり中に閉じ込めてしまわないように注意が必要です。
- キッチン
台所にある物の多くが危険です。
コンロ、電子レンジ、炊飯器、刃物、洗剤、食器、etc… 加えてサイベリアンを含む猫が好んで登る背が高い家具家電も多いです。
なるべく小まめに片付けながら、ちびちゃんがシンクに上らないように徐々に覚えてもらってください。
一番確実なのは、キッチンに入れないように工夫すること。
ガスの元栓は一回ごとに必ず閉めること。
安全のためにガス調理器から電磁調理器に買い替えされる方も多くいらっしゃいます。
- 小さな生き物
サイベリアンは特に、鳥や観賞魚、カメなどの小さな生き物が好きで、捕獲しようと狙ってしまいます。
いくら届かない場所であっても、常に狙われるのは生き物にとっても辛いでしょうから同居は避けた方が無難です。
- ケーブル・コード類
スマホ程の充電用USBケーブルや電気コードのように太いものを噛むことは稀ですがイヤホンのような細いコードを噛み切ってしまう猫はとても多いです。
お困りになられるのはもちろん、猫の誤飲にも繋がりますので必ず猫の手の届かない場所にしまってください。
- 置き物
重いから大丈夫だと思うようなものでも遊んでしまったり、隙間を通ろうとしてひっかけて落としてしまうことも多々あります。
落として壊されるとお困りになるものや危ないものは、必ず猫が開けられない扉の中にしまってください。
- 階段・家具
猫達は高い所に登るのが大好き。
登ったのはいいけれど、降りられなくなって困り果て助けを呼ぶことも多々あります。
登るのを禁止するのはまず無理です。
とても難しいことですので、危ない箇所は登れないようにしておきましょう。
キャットタワーなどを用意してあげると、ある程度興味を引きつけることができます。
- 狭い場所
もう一つ猫が好むのが、体がやっと入るくらいの狭い場所です。
顔だけ出してくつろぐ姿には何とも言えない可愛さがありますが、入られては困る所や危ないところは塞いでおきましょう。
少しお茶目で奔放な家族が仲間入りすると思ってお家の中を点検し、お互いに嫌な思いをしないよう怪我のないように整理しておいてください。
子猫と暮らす心の準備
子猫を新たに迎えようと探すときのドキドキ、ワクワクする体験は素晴らしいものです。
どの子を見ても万事を超越して可愛く見えて、ご自分の元に来てくれたらどんなに甘い幸せな毎日を送れるかと思うと、皆様が自然と笑顔になります。
ついつい舞い上がってしまう一方で、忘れてはならないこともあります。
子猫はかけがえのない命をもった尊い存在であり、決して可愛く動くだけのぬいぐるみではないということです。
命を預かることの重さを再認識して、お心の準備を整えてください。
これだけは知っておきたい、命と向き合うための心。
大きな負担を背負う
私たちは普段、何気なくとも合理的に物事が運ぶように考えて過ごしていますが、猫と暮らすとその価値観を当てはめる事が難しい場面も多く出てきます。
永遠の幼児のようである愛らしい彼らに対して、手間と時間と費用をかけ続ける認識がまず必要です。
ご旅行に行かれたければペットシッターさんや預け先を探し、病気や怪我になれば医療費、看病、介護等大きな困難をもつこともあります。
このような多大な苦労、心労にも当然ながら見返りや謝罪を求めることもできません。
ただ自分の内面から起こる、大切な家族が愛おしいという感情の他にご褒美はないのです。
共に生きる
人生の新たな伴走者はご家族のことをとても癒してくれる存在になりますが、その役割は強要されるべきものではありません。
良い時ばかりではありません。
常にその子の気持ちを尊重し、幸せに暮らせるように助けることから得られるものは計り知れません。
お互いの人生(猫生?)で何が起こるのかは分からないです。
たとえ何が起きたとしても、気分で接することのないようにできなければ愛玩動物の命を預かる資格がないと言わざるを得ません。
もちろんご家族の都合が悪くなったからと言って放棄できるものではないです。
厳しい言い回しになり御気分を害されましたら申し訳ないのですが、何卒ご容赦いただきご理解ください。
私にとって愛猫、サイベリアン達との暮らしは、大変な時が多々あっても素晴らしく温かく優しい気持ちに満たされた刺激的な毎日です。
自分の内面から起こる愛おしいという感情、これに勝るものには今まで出会った事がないと言えると思います。
この気持ちは家族とも共有でき、ご家族に素敵な時間をもたらしてくれることでしょう。
「ねこはかすがい」
オヤジギャグになりますが、お子様が巣立たれた後のご夫婦を初め、様々なご家族の中で新しく迎え入れたサイベリアンの子猫が話題の中心になり、絆が深まったとの嬉しいメッセージをたくさんいただいております。
サイベリアンの子猫を迎える費用
少しでも準備のお役に立てましたでしょうか?
お気持ちがすっかり整うと、費用に対する考え方もシンプルになってくると思います。
「猫舎 尻尾(しっぽ)」からブリーダー直販でサイベリアンの子猫をお迎えいただく場合を例にして、初期費用と以後の年間飼育費用を見てみましょう。
初期費用
サイベリアン他、子猫を迎える際の準備には、主に生体にかかる費用と住環境にかかる費用に分けられます。
- 生体代金
平均 250,000~350,000円前後
生体代金に関わる情報・保証については「子猫情報・生体保証内容」をご覧ください。 - お引き渡し送料
兵庫県の姫路市まで御自身で迎えに来ていただける場合はもちろん無料ですがお引き渡し方法によっては有料になりますので「お取引の方法等について」をご覧ください。
- 混合ワクチン
5,500円 (税別・初回接種は+1000円)前後
- 1ヶ月分の食費
子猫用ドライフード : 1,000円前後
子猫用猫缶 : 6,000円前後
おやつ : 500円前後
- 衛生費
猫用トイレ : 3,000円前後
猫砂 : 1,000円前後
- その他
適宜、ベッド、食器、おもちゃ、ブラッシンググッズ、キャットカラーなど
10,000円前後〜
お迎え後様子を見て少し落ち着いたら主治医の先生を決めて健康診断5,000円~を受けましょう。
待ち時間はかかりますが、大きな動物病院のほうが費用もお手頃で検査や手術の設備が整っていることが多いのでお勧めです。
サイベリアンは長毛種で換毛期もありますから、小まめにブラッシングをして抜け毛を取り除いてください。
ブラッシングによって家を綺麗に保てる他、猫の被毛に毛玉ができるのを防ぎます。
毛玉は身体の下側やお尻など、ケアしにくい部位にできるので、背中側だけでなく脚の付け根などの擦れやすい毛を重点的にとかしてください。
猫自身の毛繕いで飲み込んだ毛がお腹に溜まった場合、その毛玉をはくこともあります。
猫の身体機能のひとつですから心配し過ぎる必要はないですが、逆に溜まり過ぎると食欲が落ちるなどの症状が出て投薬等の治療が必要になりますので、より健康的に過ごすために毎日のブラッシングで飲み込む毛を減らしてあげると安心できますね。
また、免疫が十分についていない子猫のうちは感染症などに気をつけながらよく様子を見て、異変があればすぐ獣医さんに御相談ください。
サイベリアン成猫の飼育費用
サイベリアンは完全に成長しきるまでの期間が長い方なのですが、身体が成猫サイズに大きくなるのには1年から1年半ほどと、他の猫種と大差はありませんから、1年後には成猫と同じくらいの飼育費用がかかるとお考えください。
その後もゆっくりじっくりと成長を続けていき、食欲は旺盛ですので肥満にも注意しましょう。
生後半年から9ヶ月頃に去勢や避妊を検討されると良いでしょう。
※男の子の去勢は可能な範囲で早めの生後6カ月前後をお勧めします。去勢が遅れ発情期を迎えてしまうとスプレー等の問題行動が去勢後も止まらなくなってしまいます。
- 健康診断 1回/年
5,000円前後〜
- ワクチン 1回/年
6,000円前後
- ノミ予防 1回/年
10,000円前後
- 去勢手術(オス)
25,000円前後~
- 避妊手術(メス)
40,000円前後~
- 年間食費
ドライフード : 14,000円前後
猫缶 : 75,000円前後
おやつ : 7,000円前後
- 年間衛生費
猫砂 : 15,000円前後
- その他
適宜、ブラシ、爪切り、爪とぎ、シャンプー、キャットタワー、ウエア、猫草など
20,000円前後〜
予期せぬ医療費のために余裕をもって計画し、ペット健康保険なども検討に入れましょう。
よく観察し、必要に応じてシャンプー、ブラッシング、爪、耳、歯のお手入れをしてあげてください。
足先の毛が伸びてフローリングなどで滑ってしまうと関節炎や怪我の原因になりますので、肉球が現れるくらいにカットしておきましょう。
夏でも涼しいロシア由来の猫種ですから、日本の暑い夏にはトリミングをしたりエアコンを使って、夏バテや熱中症を防いでください。
お手入れの時間は大切なスキンシップ、健康チェックの時間になります。
サイベリアンの寿命
サイベリアンの寿命は一般的な猫と同程度の平均10〜15年くらいです。
少しでも長く一緒にいられるように健康管理で気を配れるところは普段の食事、運動、ストレスなど人間と変わりはないですので、健康的に過ごせているか、食事や水分量、排泄、睡眠、外見に変わった様子はないか気をつけてあげてください。
サイベリアンに多いのではないかと言われている病気には、腫瘍、心臓や腎臓の病気が挙げられます。
いずれの場合も早期発見と早期治療が最も重要ですが、症状が出た時には既にかなり病気が進行してしまっている例が多いですので、定期的に健診を受けることをお勧めします。
定期健診を受ける他にも、日頃から急性の異変を見逃さず、気になる変化があれば躊躇せず動物病院に連れていきましょう。
サイベリアンは困難があっても辛抱強く好転を待つ性格のためか、身体の不調も悟られないように気丈に振舞うところがあります。
無理に我慢しているとか、何かを隠しているときに、家族だからこそ分かるサインが出ることもあります。
ものを言うことができない小さな命との対話から、様々なことを教えてもらえます。