国宝猫の数奇な運命 サイベリアンの歴史と人気

サイベリアンは元々ロシア土着の猫ですが、その起源はよくわかっていない猫種です。
研究者の発表では歴史が大変古く、西暦1000年頃までにシベリアの森でサイベリアンによく似た猫が自然に発生しただろうとされています。
「サイベリアン」は「シベリアの」という意味で、名前の起源となった極寒の地であるシベリアは野生の猫が生息する北の限界地とのこと。
その厳しい寒さの中で生き延びるための立派な体格、豊かな被毛、利発な性質と、大自然に研ぎ澄まされた雰囲気が魅力的ですね。

今回は、サイベリアンが北限の野性猫から世界の人気猫種になるまでの歴史を調べてみました。
ご先祖猫の軌跡を辿ると、サイベリアンのことが良くわかってあげられるようになると思います。

 

生まれたてのサイベリアン 子猫販売

 

謎の多いサイベリアンの起源

古来、サイベリアンは長毛種なところや丸々した体格から、ノルウェージャンフォレストキャットやメインクーンとも比較的近い猫腫だと考えられてきましたが、メインクーンよりはやや小さく、ノルウェージャンフォレストキャットとは頭の形が違いますね。
この2種とサイベリアンの決定的な違いは、サイベリアンの方がより筋肉質で丸い体型を持っていること、そしてダブルコートの他にもトリプルコートという猫では極めて珍しい被毛の個体が多く存在することです。

近年の遺伝子解析により推測されるところでは、ウラル山脈の反対側に生息していたペルシャやアンゴラと同じ祖先を持つと考えられるそうです。
サイベリアンからペルシャやアンゴラが派生したとされる説もありますが、いずれの説も確定には至っていません。
それ程古い歴史があるということなのですね。

別名「サイベリアン・フォレスト・キャット」とも呼ばれて、直訳すれば「シベリアの森の猫」ですから、おとぎ話のタイトルになりそうなロマンチックな生まれ方をしたサイベリアン。
原産国のロシアでは古くから大切にされてきましたが、20世紀に入るまでは純血種の育成が活発ではなかったので、シベリアを中心に野生とも飼い猫ともハッキリしないかたちで、または農場でネズミ除けとして活躍しながら、人々との自然な暮らしの中で自由に交配し子孫を残してきました。

 

歴史に翻弄された世界デビュー

1871年、サイベリアンはロンドンでキャットショーにデビューします。
イギリスで初めて開催されたキャットショーに出陳されて以降、サイベリアン独特の優雅な美しさから大変な話題を呼び、評判は上々、人気を博しました。

しかしその頃、ロシアではソビエト連邦が成立。
ソビエト連邦政府では他国との交易を制限する政策により、ペットの輸出入が禁止されました。
さらに社会的な物資の不足などから猫をペットとして飼育することも禁じられたため、飼い猫と暮らして可愛がることができなかったのです。
サイベリアンは、入手するのが大変難しい美しい猫として知られていきました。

ロシアで本格的な血統による交配と品種改良が始まったのは1980年代からです。
飼育環境が落ち着いてきたためロシア国内でのブリーディングが盛んになり、シベリアの地で最も身近だった猫、サイベリアンの魅力にも磨きがかけられていきます。
国外に輸出された記録が確認できるのは、1987年以降のこと、サンクトペテルブルグのキャットクラブから輸出されたとのこと。
当時サイベリアンが手に入るのは、ポーランドやドイツなど政治的に近い国や、ヨーロッパ北部のデンマーク、ノルウェー、スウェーデンのように地理的に近い国に限られていました。

元々ロシア皇帝にも愛され、高貴な猫であったサイベリアンは、そういった地政学的な希少性も手伝って、イギリスやヨーロッパの貴族階級に珍重されるようになり、血統猫としてのスタンダードを築くことになります。

サイベリアンはロシアの国宝です。それらは何百年もの間ロシアで文書化されており、ロシアのおとぎ話や子供向けの本で言及されています。この品種は、1889年に出版されたハリソンヴィアーの著書「Our Cats and All About Them」にも掲載されています。ロシアの人々はサイベリアンの愛すべき物語と、その驚きの忠誠心と性格を伝え、これらの猫はげっ歯類の防除として農場でも実用的な役割を果たしてきました。ソビエトとアメリカの間の冷戦が終わったとき、サイベリアンが世界中に輸出されることへの扉が開かれました。最初のサイベリアンは、1990年6月に米国に到着しました。サイベリアンは、2000年2月にCFAによる登録を承認され、2006年2月にチャンピオンシップステータスに進みました。

 

人気血統猫としての歩み

サイベリアンが血統猫の伝道であるアメリカ合衆国に渡って、その名を知らしめたのは1990年のことです。
文化交流プログラムの一環として、エリザベス・テレルというブリーダーの努力で数頭がアメリカの繁殖家に贈られます。
1992年に血統機関TICAが新猫種の予備登録を行い、1996年に固有の猫種として正式に認められ、登録されました。

こうしてサイベリアンが世界中に幅広く認知され、名実ともに公認を得たのは21世紀を迎えてからになります。
再びペットとしてイギリスに渡ったのは2002年以降のことでした。
故郷ロシアでは何百年もの間、国宝として文献に登場してきたサイベリアンですが、世界的には大変に長い時間をかけて品種としての地位を獲得した猫種だったのですね。
そのため、品種化されてから比較的に新しい猫種だと紹介されています。

 
TICA (The International Cat Association)

TICAは、アメリカを本拠地とする純血種およびハウスホールド・ペット(HHP)猫の世界最大の血統登録機関で、キャット・ショー公認機関としても世界最大の団体の一つです。
主に純血種猫の血統の保全、健康と福利の推進、キャット・ショーの公認。
その他、去勢・避妊、奉仕プログラム、繁殖、ショーへの出陳、ブリードの改良、などの血統猫に関する情報を発信し、優れた猫種の育成に寄与している団体です。

 

ヘソ天のサイベリアン子猫

サイベリアンの子猫の価格相場

サイベリアンのブリーダー直販の価格相場は25万円~35万円くらいです。
当猫舎でも27万円前後で推移しています。
※ブリーダー直販の価格ではペットショップで一般的な安心パックや生命保証等と言われる8~30万前後もする大きな別途費用をいただいていないため、大変お手頃な価格で子猫を迎えていただけます。

 

現代のサイベリアンの役割

現代に入ってからのサイベリアンはロシアを代表する猫としてゴルバチョフ大統領やメドベージェフ大統領に愛されたことで有名です。
ロシアは他国に友好の証としてサイベリアンを贈ることがよくあり、国際交流のシンボルにもなっています。
日本では、2013年にロシアのプーチン大統領が、秋田県知事から秋田犬を贈られた返礼として贈ったサイベリアンの「ミールくん」が話題になりました。
ミールとは「平和」や「世界」を意味するロシア語で、プーチン大統領の気持ちが込められた名前なんですね。
秋田県のホームページでは「シベリア猫ミール君」の元気な姿を見ることができます。

このように、サイベリアンの神秘的な姿が人々を魅了し続けていることは、関わっているブリーダーとしても誇らしい限りです。
子猫は尚のこと、成猫もとても無邪気で可愛いので、ぜひ皆様にサイベリアンの世界を知っていただきたいと願っております。

子猫のお引き渡しの時期

子猫のお渡しは、成長しある程度体力と社会性が身に付き生活リズムも整った生後80日前後までお待ちいただきくことをお勧めしています。
詳しくは「ご検討・ご成約までの流れ」をご覧ください。
サイベリアンの子猫 ご検討・ご成約までの流れ | サイベリアン販売【WANAN】

 

サイベリアン子猫が沢山産まれました

 
〜Break time〜
ネヴァマスカレードとは?


「ネヴァマスカレード」とはカラーポイントと青い目をもったサイベリアンのこと。

ヨーロッパやロシアでは、そのようなサイベリアンを特にネヴァマスカレードと呼びます。
ロシア・サンクトペテルブルクのネヴァ川沿いでバリニーズやヒマラヤン、シャムなどがサイベリアンと交配されて誕生した品種「ネヴァ」の被毛が、仮面舞踏会の衣装のように装飾的だったために「マスカレード」を付け加えて呼ばれました。
TICAは1997年、CFAは2000年にカラーポイントを(ヨーロッパではネヴァマスカレードを)サイベリアンのカラーバリエーションとして公認。

FIFeでは、2011年サイベリアン(SIB)の姉妹品種としてネヴァマスカレード(NEM)を公認しました。