サイベリアンにルールを覚えてもらう方法 しつけできる? できない?

「しつけ」というと厳しくしなければならないような語感がありますが、一緒に暮らすにあたり危険や困難を避けるために「ルールを覚えてもらう」という意味の「しつけ」なので気楽に始めていただければと思います。

サイベリアンは心を許したご家族には従順で、知能も高いので、比較的にしつけはしやすいです。
それでも猫の脳や本能の仕組み自体が、人や犬などとは大きく違いますので、犬のようにしつけるのは難しいと考えておきましょう。
もちろん個体の性格によってもしつけのしやすさが違いますし、基本的には人が配慮し、愛猫が危険な目に遭わないよう、大切なものが壊れないようにする他ないですが、努力すれば少しだけ覚えてもらうことは可能ですので「できるかもしれない」程度のご参考までにご覧ください。

 

しつけやすいサイベリアンの子猫

 

サイベリアンにルールを覚えてもらう方法

それでは実際にどの様にすればサイベリアンに生活のルールを覚えてもらえる(しつけができる)のか見ていきましょう。

 

芸もできるって本当?

サイベリアンは大変賢く、「待て!」「お座り!」などの指示語にも反応できるようになるとお聞きになったことはないでしょうか?
ロシア伝統の猫サーカスでもサイベリアンが活躍していますので、子猫の頃から特別な鍛錬を積めば様々な芸当ができるようになるのは本当のことだと思います。
それほど環境に対する潜在的な適応力がある子達なのですね。
しかし当猫舎では、本人とご家族の無理のない幸せを第一に考えるので、サイベリアンを「芸を覚える猫」としては捉えておらず、生まれてからお引き渡しまでの間も、厳格なしつけというよりは心からの信頼関係を重視して、愛情を教えながら、ゆったりと甘えさせて育んでおります。

親猫から受け継がれる特性はDNAだけで決まることではなく、人間においても家業への素質が子々孫々に継承されるらしいことが知られていますね。
そんな観点からも家猫の家系には家猫としての振る舞いの豊かさがありますので、それぞれの存在自体が可愛いお家芸ではないでしょうか。
当猫舎のサイベリアン達は代々可愛がられた家系に生まれていますので、ワンちゃんに対するような主従関係を心から喜ぶ程にはなりにくいことをご理解いただければ幸いです。
芸当らしい芸もやればできるのですが、無理強いをする必要は全くないと思います。
愛猫の様子を見ながら、芸を覚えることでお互いの絆がより深くなり、何より猫自身が楽しんでいるならば一緒に遊んでいるうちに覚えていくでしょう。

芸も覚えますが無理強いしないで

 

褒めることから始めて根気よく

犬のように賢いと言われるサイベリアン、しかしそうは言っても猫ですのでワンちゃんとはしつけのイメージが違い、いわゆる訓練、練習というものを理解するのは難しいです。
ご褒美をあげたり、頭を押さえたりといったアメとムチを使い分けても、その意味さえ分からないかも知れません。
まずは単純に褒めて、撫でて、可愛がられる喜びを分かち合い、時間をかけて深く仲良くなりましょう。
本来、温厚で辛抱強いサイベリアンですが、あらぬ不信感や敵対心を抱かれないように育んでいきます。
家の中にも危ないところや、やって欲しくないことがあり、本人のためにも大きくなる前にルールを覚えてもらいたいですね。
子猫のうちはご家族で目を配り、危険を回避してあげるのが第一歩です。

ルールを覚えてもらう、しつけの基本は条件分岐です。
「これをやったら…嫌な思いをした。」 このパターンを覚えてもらって、ダメなことをされいようにするわけです。
そのためダメな事柄はご家族とも協力して常に定めておくことが重要です。
「特別」や「ご褒美」のつもりで妥協してしまうと条件がブレるだけですので、例外を作らないようにしましょう。

どのような条件が適当なのかはご家庭によって異なりますが、危険と不衛生に絞ると多くはなりません。
キッチンには危険がたくさんあり、衛生的にも触れて欲しくないですね。
シンクとダイニングテーブルに登るのはダメ!と決めたら、飛び乗ろうとした時、乗ってしまった時にすかさず少し強い声で「ここはダメだよ」「ダメ!」などと禁止用に決めた言葉を言いながら素早く抱き上げて、すぐに降ろします。
怒鳴ってはうまくいきませんが、いつもの可愛がっている声も使わないように工夫してみてください。

トイレはしつけるまでもなく覚えてくれます。
新しいトイレを用意したら砂の感触を覚えてもらい、ソワソワとした何かを探すような素振りの度に連れていきましょう。
失敗しても決して叱らずに、薄めた洗剤などで良く拭いて清潔を保ち、トイレには向いていない場所だと思わせます。
成功直後には褒めてあげてください。
この対応を機械的に繰り返すだけにして、お互いに無用なストレスを避けましょう。

手と比べると小さい子猫

 

サイベリアンにルールを覚えてもらう、しつけのコツ

ダメを伝える際には、叩いたり大きな声で「ごらっ!!!」と言われると怯えを引きずってしまいますし、いつも通りの声で「だ〜めっ♪」と抱いて撫でたりしていると伝わりません。

あくまでも冷静に、毅然とした態度を示すのがコツです。

これが簡単そうに聞こえますが、可愛いので情に流されてしまい難しいのです。
撫でている手に戯れついたり甘噛みしてくるのも可愛いもので、手に噛み跡や引っかき傷を負ったとしてもニコニコと「名誉の負傷」などと言ってしまいがちです。
サイベリアンが成長すると大型で重く、力も強くなっていきますので、危険に繋がりかねませんね。
子猫の頃から手は撫でるだけにして、遊びはおもちゃを介して戯れるように習慣づけましょう。
それでも手に戯れるようならば「ダメ!」を発動します。

ここで気をつけることは、遊びたい気持ちを叱ったと受け取られたくはないですね。
NGな事柄を諦めさせてしばらく経ったら、また遊んであげましょう。
すぐに甘やかすと、「しては駄目なことをしたら可愛がられた」との誤解が生まれるのでご注意ください。

このようにサイベリアンのしつけは、十分に可愛がり、ダメな場面では毅然と「ダメ!」を教えていきます。
普段優しくて大好きな人から「ダメ!」と言われる事柄があると気づいてもらい、習慣と条件のある環境に徐々に慣れてくれれば十分だと思います。

子猫が過ごすことになる部屋では、お迎えの前までに物の出しっ放しや陳列はしないように心がけてください。
人から見ると猫の筋力はすさまじいもので、下手な物の配置をしていると蹴り散らかされ、あちこちに物が散乱、大切なものは壊れ…となったとしても悪いのは猫ではなく環境の方ですね。
爪研ぎも止めさせることはできませんので、代わりの爪研ぎ場を用意してあげるか、気に入られてしまった場所を差し上げるしかなさそうです。

サイベリアンの子猫は特に好奇心と遊び心には勝てませんが、基本的に頭の良い猫なので、ダメなことをしっかり覚えてもらえれば比較的安全に過ごすことができます。
ただし運動は心身の健康のために必要ですので、十分に遊べる環境を作ってあげましょう。

サイベリアンの成猫

 

多頭飼いのコツ

気性が穏やかで好奇心も旺盛なサイベリアンは、多頭飼いにも向いています。
先輩猫、後輩猫とどのように慣れさせれば多頭飼いが上手くいくのでしょうか。

 

社交的なサイベリアン

サイベリアンはどのような動物やお子さんに対しても、慣れれば興味をもって関わろうとする、大変に社交的な猫種です。
シベリアの厳しい寒さと食糧事情の中を、半野生で仲間と協力して生きてきた歴史があり、柔軟に忍耐強く周囲の環境と折り合うことができます。

そのため仲間意識、テリトリー意識が高いですので、仲良くするのは仲間やご主人だと認めた人だけという子が多いのも特徴のひとつ。
サイベリアンと他の猫や動物が上手く付き合うコツは、まずは仲間だと認めてもらって、彼らとテリトリーを共有することだと思います。
サイベリアンゆえの社交性を思う存分に発揮して、豊かに過ごして欲しいものですね。

多頭飼いされたサイベリアン

 

サイベリアンに最適な多頭飼い

サイベリアンにとって一緒にテリトリーを守る仲間は大切な存在です。
もちろん自己主張もしますし、一番に可愛がってもらいたいという様子を見せるのは皆同じで我慢できるものではないですが、仲間との衝突はうまく避けて立ち回り、世渡り上手なところにはサイベリアンの賢さが出ていますね。

おうちに先輩猫がいる場合には、お引越し直後にとつぜん先住猫とご対面するのは避けましょう。
家にも人にも慣れていない中で緊張していますので、いきなり先輩猫に会わせてもさらに緊張が増すばかりで、「シャーっ」と威嚇が出てしまったりすれば先輩猫からも敵視されてしまいます。

まずは先輩猫が見えないように別の部屋で過ごさせて、そのお部屋と何人かの優しい飼い主に慣れれば安心が得られるようにしてあげます。
その間にお互いに相手の存在に気づき、ドア越しに声をかけあったり、ドアをカシャカシャとつつき合ったりして気になり始めたら、お互いの枕を交換するなどしてニオイ交流から始めましょう。
ニオイに慣れたらご家族で抱いて遠めにご対面や、ケージ越しに会うなどの工夫をして安心できる出会いの場を作ってあげてください。
何度かそのような出会いを演出してから、無理強いをせず自由に交流してもらいます。

猫同士の戯れあいは時に喧嘩のように見えますので、あまり心配は要りませんが、明らかにフードやおもちゃの取り合いなどの原因がハッキリした喧嘩を繰り返す場合には、別の部屋で食べさせたり、同じおもちゃを買ってあげたりといった対応が必要です。
追いかけっこなのか虐められているのか判断がつかないようなこともありますけれども、ほとんどの場合は遊びかそれがヒートアップした状態ですので、叱ったりせずに、なだめて距離を取らせるだけにしましょう。

 
〜Break time〜
サイベリアンは男前


「犬派のための猫」とも言われるサイベリアン。
ご家族への愛情が強く、猫特有の気ままなツンデレとはまた違った、どストレートな感情表現にはほだされてしまいます。
比較的に大人しい女の子でも、気に入ったお客様には興味全開でちょっかいを出しにいったり、みんなが集まると楽しくてハイテンションになったりと持ち前のやんちゃっぷりを披露する子もいます。
凛として自立心が高そうな割には堂々と甘えてくれる色っぽいところがあって、こちらが照れてしまうような美男美女たちです。